和鞍 ― 力と美の追究 ―
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馬にまつわる日本や海外の古典、絵画、ことわざ、そして歴史遺産をテーマにした年間ミニエッセイシリーズ。
これまでの秋の「ことわざ」シリーズの再生回数は約80万回に達し、海外を含む多くの視聴者の皆様とともに、古今東西の叡智を探究することができました。
そして今回から、いよいよ最後の冬シリーズが始まります。
初回となる最新作(11月7日配信)では、「和鞍」(わくら)を取り上げました。
鞍は、人が馬とともに戦い、旅をし、世界を広げていく上で欠かせない道具。
その起源は、四千年以上前に遡ります。
日本では、漆、蒔絵、螺鈿などの装飾を施し、独自の“美のかたち”として発展していきました。
勝負に挑むとき、「美」は欠かせない要素だった。
それが、今回の動画を貫くメッセージです。
天下人たちが愛した鞍には、それぞれの美意識と理念が映し出されています。
足利尊氏や織田信長の鞍は詩や伝記を通じて、豊臣秀吉や徳川家康の鞍は実物として今に伝わります。
華やかな金銀蒔絵や螺鈿、四季の草花、吉祥の動物、南蛮の意匠。
そこには、完璧な美を追究する職人たちの技と魂が宿っています。
和鞍―それは人と馬がともに創り上げた「力と美の結晶」。
次回は、舞台をヨーロッパへ。
馬とともに刻まれた、力強さと静かな威厳をたたえる歴史遺産を取り上げます。
11月15日の公開を、どうぞお楽しみに。
鞍の画像:ColBase 紫陽花蒔絵螺鈿鞍、18世紀、江戸時代、東京国立博物館所蔵
馬のイラスト:生成AIにより当社制作
背景の文字:太田牛一著『信長公記』(巻の十四「御馬揃えの事」)の鬼葦毛の描写