哲人皇帝の騎馬像
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前回の日本のサムライから古代ローマへ。
第2回目はマルクス・アウレリウス(121-180)の騎馬像を取り上げました。
日本では「哲人皇帝」の名で親しまれ、その著『自省録』は今も世代をこえて読み継がれています。
帝政ローマでは数多くの皇帝騎馬像が造られましたが、二千年を経て現存するのは――この一体のみ。
その秘密を、国内外の視聴者の皆様とともに探索いたしました。
本編では、
・古今東西の騎馬像との共通点、特異点
・この騎馬像を守り、皇帝の精神を後世に伝えた人々
を取り上げております。
ローマ最盛期の最後を担った皇帝は、困難な状況においても自らを律し、公の務めを果たし続けました。
そしてルネサンス期には、この像は都市の中心に据えられ、ローマ再生の象徴として新たな役割を担います。
さらに18世紀。
哲人皇帝の精神は、思いがけないかたちで物語に姿をあらわします。
『ガリヴァー旅行記』第4篇に登場する、馬の姿をした高貴な種族“フウイヌム”。
彼らは、理性と節度を体現する存在として描かれます。
一方、人間に似た“ヤフー”は、アウレリウスが『自省録』で“獣”と呼んだ性質を宿す者として登場します。
著者スウィフトは、そこに当時の欧州社会への鋭い批評を込めました。
この騎馬像から何が読み取れるか。
未来にどんなメッセージを、どんな形で手渡すべきなのか。
引き続き、皆様とともに考えてまいりたいと思います。
次回は、「創作者」にフォーカスした内容でお届けします。
どうぞお楽しみに。
騎馬像の画像(抜粋):マルクス・アウレリウス騎馬像(レプリカ)、ローマ・カンピドリオ広場
馬と鳥のイラスト:生成AIにより当社制作