見努世友(みぬよのとも)
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戦争の時代を生き抜いた古人の作品は、私たちに平和の尊さと、それを維持することの責任を強く意識させてくれます。
今から約400年前、琳派の祖といわれる本阿弥光悦、俵屋宗達の生きた時代は、安土桃山時代から江戸時代初期の動乱期にあたります。国内では戦乱が100年以上も続き、その頃の日本の軍事力は、当時の軍事大国スペインをはるかに凌駕する約15~50万人規模とされています。
彼らは、更に時代を900年遡り、「三十六歌仙」と称される人々が生きた約300年間を絵巻にまとめました。その一つ「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」のモチーフには、長寿の象徴である鶴が用いられています。
36名の歌仙の名前と、その歌仙の生きた証である和歌がしたためられた印象深い筆跡の上部に、金のくちばしと脚、銀の胴体を持った美しい鶴の群れが描かれています。ほぼ時系列に並んだ歌仙の名前と和歌は右の方向(過去)へ流れ、そして鶴の群れは左の方向(未来)へ飛翔していきます。
すでに1300年以上も前に、私たち日本人が身分、性別、世代、立場の違いを超え、和歌を通じてつながっていたこと、そして、このつながりを絶やしてはならないことを思い起こさせる作品です。
本阿弥光悦、俵屋宗達は、クリエイターとしてのみならず、経営者としても優れた功績を残しました。当社は、彼らから学んだことを事業に生かし、よりよい社会を次世代につないでまいります。
画像出典 :Colbase
重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」、書/本阿弥光悦筆、絵/俵屋宗達筆、江戸時代(17世紀)、京都国立博物館蔵