“Everyone should have a coach.”
古今東西、稀代のリーダーには優れたコーチがいます。
例えば、米Google社の元CEO兼会長エリック・シュミットには「一兆ドルコーチ」と称されたビル・キャンベルがいました。中国唐代の名君・太宗皇帝(598 – 649)には『西遊記』で「あの世とこの世を行き来できる」とキャラクター化された臣下・魏徴(580 – 643)がいました。
専制政治であれ、資本主義であれ、優れたリーダーシップ、絶大な権力、圧倒的な資本力を併せ持つ人の下には、優秀な人財、有益な情報が集まります。
一方で現代は、誰もが優れたコーチや良書に出会えるチャンスがあります。資本主義は確かに富の格差を生みますが、豊かな無形資産へのアクセスは平等に開かれています。
例えば、昔の日本においては、前述の太宗の言行録『貞観政要』は、天皇、将軍、貴族、武士、高僧など限られた身分の人しか閲覧できない古典でした。今は、Amazonで手軽に購入できますし、近所の公共図書館に行って無料で借りることもできます。
しかしながら、自分にとって真に必要な人物や情報は、容易には見つけられないのも事実です。また、身近な人や便利なChatGPTからの提案が、必ずしもそのときの自分にマッチしているとは言えません。
私自身は、国内外の優れた経営者から多くの示唆をいただいてきました。9年前の来日講演の際、緊張のあまり、英語どころか日本語すらたどたどしい私の質問に、ユーモアを交え丁寧にお答えいただいただけではなく、「Everyone should have a coach.」と自らの信念を明快に教えてくださったのも、冒頭のエリック・シュミット氏その人でした。
私は、ビジネスを通じ、自分が受けてきた恩恵、幸運を、他の人も、そして未来の人も等しく享受できるようにしたいと考えています。現状、その目的を実現する上で最も適していたやり方が、NFTと既存の技術を組み合わせることでした。
来月から、いよいよ本格的なシステム開発に着手します。来春、皆様によいご報告ができますよう、一層気を引き締めて準備を進めてまいります。
画像出典:Colbase
「厳島経巻摸本」、明治時代(19世紀)、東京国立博物館蔵